「B」のボトム刻印を持つZIPPOは本当に1996年製か? 「B」には1996年製を示す製造年コード(XII)が刻印されている。しかし、通常の1996年製刻印である「A」とは“NIAGARA FALLS,ONTARIO”の文字サイズが異なっている。「B」に刻印されている“NIAGARA FALLS,ONTARIO”は、1998年後期製の「C」(及びそれ以降のもの)と全く同じである(青枠参照)。又、ZippoロゴとRマークの位置関係に着目してみると、「A」はZippoロゴの終了位置より右にRマークがあるが、「B」はZippoロゴの終了位置とRマークの位置がほぼ同じであり、この特徴も「C」と同じである(赤線参照)。 「B」の刻印は1996年8月製でのみ確認されているが、「B」の実際の製造年はいつなのだろう? 製造年コード(XII)を単純に信じれば『@1996年製』となるが、上記の刻印特徴を考慮すると『A1998年後期以降製』とも考えられる。 @の場合は、1998年以降に使うことになる新刻印が、2年前の1996年時点で準備されていたことになるが、そんなに早くから準備するか? という疑念が生じる。 Aの場合は、1998年後期以降に製造したZIPPOになぜ1996年製を示す刻印(XII)を使ったのかという疑問が生じる。これについては、ZIPPO社が過去に犯してきた数々の刻印ミス(古くはWWU時代の#203695スタンプ/1956年・1959年・1979年の左が先に消える製造年コード/1966年のPAT番号なし刻印/1970年代中頃のカナダ製スリムZIPPOのインサイドユニットに、1967年以前に使われた刻印パターン「PATENTED ZIPPO 1950」が打たれたものがある 等々)を考えると、ありえるかもしれないが、今回もそれらと同じ刻印ミスであるという確証はない。又、Aの場合、以下のような可能性も考えられる。 『ZippoMANUAL2 ジッポー・コレクション読本(56〜58頁)』等でも紹介されているように、ボトム刻印はボトムケースの成形が行われた後に打たれるが、ボトムケースの成形工程が1996年に行われ、何らかの理由でそのボトムケースへのボトム刻印工程が1998年後期以降に行われた場合、その製造工程に対し忠実にボトム刻印が打たれたとすると、どうだろう。1998年後期以降はスタンパーが新しい刻印に切り替わっているので、「C」の刻印パターンが使われ、且つ製造年コードにはボトムケースの本来の製造年である1996年(XII)の刻印が打たれたという仮説も成り立つ。しかし、アバウトなパーツ管理に定評があるZIPPO社がそんなに細かい配慮をしているとは到底考えられないので、この仮説は即座に棄却される(じゃぁ書くなよ)。現時点では「B」の実際の製造時期について、明確な結論は出せないが、個人的には「@なのかなぁ」と思っている。それは、1996年時点で2年後に使うボトム刻印を準備していたというものではなく、「Bは1996年時点で発生した“ボトム刻印の発注ミス”だったが、金型がもったいないので、Aの刻印パターンでの製造が終了した1998年後期以降はBを使った」という感じなのではないかと邪推している。いずれにしても謎が多いカナダZIPPOである。 |